本格環境放射線遮蔽箱

5cm鉛ブロックによる鉛遮蔽箱


5cm厚の鉛ブロックを用いますと非常に良い低線量環境を構築できます。Cs137のスペクトラムは外部から1/100程度に遮蔽されます。また、鉛内部からも主にPb212によるスペクトラムと、鉛にガンマ線が当たって特性X線が出ますので、完全にゼロにはなりません。
更に特性X線を減衰させるために1mmの銅板で内張すると若干ですが、より低線量環境が実現できます。(セシウムのスペクトラムを検出するにはそこまでする必要はありません)

    • 5cm鉛ブロックを使用しますと、パルス検出しきい値100で0.0023μSv/h前後の環境が実現できます。
    • さらに、5cm鉛ブロックに、1mm銅板の内張りをおこないますと0.0017μSv/h前後の環境が実現できます。

最低コストで構築するには、
    • 5cmx10cmx10cmの鉛ブロック2個
    • 5cmx10cmx20cmの鉛ブロック6個

こちらを用意しますと積み上げるだけで、1Lの容積を持った遮蔽空間が作れます。都合トータルで約80kgになります。
iMetryが少し空間容量を食ってしまいますが、ziplockでギリギリ約1Lの内容物をいれることができるのでDIYの簡易計測にはこれで十分でしょう。
一方2Lのスペースを作るには5cmx10cmx20cmの鉛ブロック10個で、都合114kgとなります。

50mm鉛箱.png

FAXやメールでの見積もりとなりますが、三光金属が、インターネットで値段を出している業者よりも随分安く、高品質の鉛ブロックをご提供くださるのでオススメです。鉛の値段は中国の建設市況などに左右されて常に変動しており、時価となっています。送料込みで約4万円くらいで済みます。
こちらの本格遮蔽環境の方が12mmの簡易遮蔽環境よりも少しだけお値段ははりますが、ブロックを組み立てるだけなので却って簡単に構築でき、性能も格段によいのでおすすめです。また、鉛は一般に再生利用されているものが多く、これらの一般に市販されている鉛は、比較的安価ですが、厳密な放射線遮蔽用でないことの留意が必要です。鉛が届きましたら、まずは、iMetryを使って、1分平均モードにして、鉛ブロックに特別放射線値が高い所がないか確認して見ましょう。(問題は無いかと思いますが、iMetryの練習を兼ねて鉛ブロックの表面をゆっくり動かして、ホットスポットが無いかスキャンしてみます。iMetryはこういう用途にも使えますね。手袋とiMetryをビニール袋に入れるのを忘れないでください。)


遮蔽箱を組み上げる前に一カ所ケーブルを通すために一箇所V字型の溝を彫刻刀などで掘ります。V字型に溝を掘るのは電線を通す溝から放射線が入射するのを防ぐためです溝の部分はこのように彫刻刀でV字溝を掘ります。また、各ブロックは精度が出ているので隙間を開けずにピッタリおくのが望ましい。鉛同士が接する面を除いて、養生テープ等で養生し、手袋を着用し直接鉛に触れないようにご注意ください

V字溝.jpg

パルスしきい値メニューの簡易オシロスコープ機能で極低線量下のパルスを確認する。

iMetryを50mm鉛+1mm銅遮蔽下で動作させると、パルス検出しきい値が100の状態で7cpm程度のパルスを検出します。パルスしきい値メニューの簡易オシロスコープ機能で極低線量下のパルスを確認できます。確認されるパルスは、比較的高エネルギーのパルスが多く見られます。
鉛50mmブロックによる遮蔽下では、低エネルギー領域では1/1000近く外界の放射線が遮蔽されていますが、低エネルギーのパルスは、特性X線によるものと、半導体のノイズの多数のノイズパルスの確率論的な偶然の重なりによるものが考えられますが、そもそも残りの7cpmの主要なものは高エネルギーのパルスです。

50mm鉛+1mm銅の内部を、パルス検出しきい値=100に設定した状態で計測した例

5mmleadbox_with_copperBG.PNG

  • 最終更新:2013-06-18 15:46:15

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