ガイガーカウンターキャリブレーション

ガイガーカウンター(放射線計測)について

iMetryなどの放射線計測器が計測する放射線量は、バックグラウンド(環境放射線)と、検体から発生される放射線の加算した合計が計測されます。iMetryの計測する線量の場合は、線形性の誤差は発生しますが放射線量は単純に足し算となります。

厳密に検体の放射線を知るためには、環境放射線を遮断した環境で計測する必要があります。

ガイガーカウンター(線量)キャリブレーション

  • ガイガーカウンター(線量)キャリブレーションするためには、Cs137の試験核種と、校正された線量計が必要となります。
  • 理論的には完全に遮蔽された環境では点線源からの放射線量は距離の自乗に反比例して低下します。
  • そのため正しくキャリブレーションされた放射線測定器では、例えば放射線源から5cm離れた場所と10cm離れた距離でバックグラウンドも含めて計測した場合、それぞれで計測した結果からバックグラウンドを引いた値は、理論的には5cm離れた場所の値の1/4が10cm離れた場所の値に一致します。
  • 実際には空気減衰、センサーの形状などの影響もあり必ずしもそのようになりません。放射線量の線形性による誤差も生じます。
    放射線量の線形性の影響を小さくするには十分小さなcpmで、測定しようとする線量の近傍の線量で校正すると、良い結果が得られます。


  • なお、近所にモニタリングポストがある場合には、モニタリングポスト付近でcpmを計測し、モニタリングポストが表示している線量(μSv/h)と合わせることも簡便なキャリブレーション方法となります。iMetryは、一点キャリブレーションでいいので、これが最も簡単で正確で間違いのないDIYによる再較正法であると言えます。


Cs137の試験核種での放射線計測

まず紙を貼った板を用意して、5cm、10cm、15cmのように一定の間隔の半径で同心円を描き、校正盤とします。
ガイガーカウンター校正盤の例
線量校正盤.JPG
A4版線量校正盤.pdf (サンプルPDF)
Cs137の試験核種(*1)を同心円の中心に置き、校正されたガイガーカウンターのセンサー位置(十字マークがついている場合があります)を各円周上に合わせます。
ガイガーカウンターは表示する値が一定の範囲で揺れ動きますので、その値を適当な間隔で複数回(30回)読み取り、平均値を計算します。これを、中心においた線源からその円周上までの離れた位置での線量とします。

  • *1 Cs137試験用核種の0.25μCi(17ヶ月経過時)
    • Ci(キュリー)からBq(ベクレル)への換算はがあります。0.25μCi=9.25kBqとなります。
    • 放射線源素の時間経過による残存率は放射性元素の半減期 - 高精度計算サイトで計算できます。上記サイトで「放射性元素」に「セシウム137」を選択し、計算期間に(17ヶ月の場合、17/12=1.417)経過期間を年単位で入力し、下の「計算」ボタンを押します。ページがリロードされて表が表示されますので、一番下の行に入力した経過期間に対する放射能の残存率(%)が分かります。
    • あるBqの点線源から任意の距離が離れたところのSv/hの理論値は、上記のベクレル×残存率をかけた値を点線源のベクレル(Bq)シーベルト(Sv)換算ツールの「放射性物質量」に入れ、距離を入力することで計算できます。
    • このようにして計算した0.25μCiで17ヶ月経過した137Cs点線源からの理論的なμSv/hは以下のとおりです。
(参考)
距離 0.25μCiで17ヶ月経過した137Cs点線源からの
理論的な線量(μsv/h)×70% (*2)
5cm 0.1953
10cm 0.049
15cm 0.0217
20cm 0.0119

  • *2 iMetry同梱の簡易キャリブレーションパラメータ表に、3割減の補正をしていると記載があったので、それに合わせる形で70%の補正を加味した。

バックグラウンドの放射線計測

次にバックグラウンド(計測場所の環境放射線)を計測します。試験各種や他の放射線源がない状態で、上記と同様に校正されたガイガーカウンターの値を複数回読み取り、平均値を計算します。

または、試験核種を計測した値を用いて計算することもできます。放射線量は放射線源からの距離の二乗に反比例することと、ガイガーカウンターが計測する放射線量は、バックグラウンドと線源からの放射線の合計であることから、すでに計測した試験核種での2点の放射線量から求められます。
例)試験核種から10cmでの放射線量が0.14μSv/h、20cmでの放射線量が0.08μSv/hの場合
A:試験核種から10cm離れた場所での試験核種からの放射線量
B:試験核種から20cm離れた場所での試験核種からの放射線量
X:バックグラウンドの放射線量
とすると、
A + X = 0.14、B + X = 0.08
B = A / 4
の関係となり
X = (0.08 * 4 - 0.14) / 3 = 0.06μSv/hとなります。
しかし実際には空気減衰等様々な要因で、自乗則に必ずしも従いません。

校正の方法

前記それぞれで得た、標準線源からの距離に応じた放射線量からバックグラウンドの線量を引いた値を、校正盤に書き込みます。
(例)
距離 線量(μsv/h)×70%(*3)
5cm BG+0.1953
10cm BG+0.049
15cm BG+0.0217
20cm BG+0.0119

これはバックグラウンドが様々な要因で時間経過とともに微妙な変化を起こすのに対し、半減期が30年などの長い標準線源からの放射線量は大きく変化しないからです。
そのため校正を行う場合は、その都度バックグラウンドを前述の方法で確認し、標準線源からの放射線量を足し合わせることが必要になります。
  • *3 iMetry同梱の簡易キャリブレーションパラメータ表に、3割減の補正をしていると記載があったので、それに合わせる形で70%の補正を加味した。

試験核種から各距離、中心に置いた試験核種からの距離を合わせて、
校正されたガイガーカウンターと構成する必要のあるiMetryを同じ距離におきます。(下図参照)
radicalib.jpg
そのときのcpmの値と、バックグラウンド+標準線源からの放射線を足しあわせたμSv/h値をiMetryアプリのキャリブレーションパラメータに設定してください。
  • iMetryのリニアリティには限界があり、高線量の領域では非線形となります。例:60000cpm等
  • 点線源からの校正に際しまして、バックグラウンドからの影響と、近づけすぎることによる誤差、並びに、カバーする開放角が線形性を持たずに拡大するため、点線源からの5cmでの校正点は、校正直線から、クリスタルが2cmx1cmx1cmで長方形であるため、5cmの距離では上ぶれしてしまう傾向にありますのでご注意ください。



iMetryを低線量領域で使用するためには、次のような三点キャリブレーションを行うのがお勧めです
  • 鉛遮蔽箱での、校正されたガイガーカウンターの値へのキャリブレーション
  • バックグラウンド0.05μSv/h近辺での、校正されたガイガーカウンターでのキャリブレーション
  • 試験核種から、一定の距離を離して、約600cpmの値をiMetryが示す距離での、校正されたガイガーカウンターへのキャリブレーション

  • 最終更新:2013-05-07 17:03:14

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