非遮蔽環境における相対的な放射線計測

ここで議論するのは、測定限界に関する一般的な考え方の整理です。十分なマージンを持って計測する場合については全くその限りではありません。
温度、湿度が、常温で、一定の環境で、たとえば、6000cpm/μSv/hの感度のiMetryセンサーでバックグラウンド放射線を、一時間かけて計測した時、0.06μSv/hを示した場合を考えて見ます。
iMetryのcpmは360cpmを示しますが、その時、一時間で、21600countsを計上するわけです。ポアソン分布を仮定しますと、sdは147countsとなり、3sdを前提としますと、カウント値全体の約2パーセントとなります。
したがって、非遮蔽環境で、バックグラウンド放射線が0.06μSv/hの時、iMetryで、計測判定可能な放射線値は、3sdを前提とし、温度ドリフト、経時ドリフト等が無い事を前提としますと、一時間をかけた計測で、バックグラウンドの0.06μSv/hの2パーセント、約0.0012μSv/h以上が、この一例では相対的なMDAであると考えることができます。ここでは、iMetryの自己ノイズカウントが、無視できるレベルである事を前提としています。
MDAは、バックグラウンドの放射線レベルとiMetryの感度に依存し、個体差により若干ことなります。
6000cpm/μSv/hの感度のiMetryセンサーでバックグラウンド放射線レベルが0.06μSv/hの時、相対的な微小な放射線の大小の計測限界は、3sdで判定するとして、約0.0012μSv/hであると考えられます。
バックグラウンド放射線レベルが約0.06μSv/hの時、iMetryが未だにエネルギー補正に対応していない問題はありますが放射線の相対的な計測において、コントロールとの比較では、非遮蔽環境では約0.0012μSv/h程度まで比較は複数回の計測で理論的には可能ですが、実際には、そのような低レベルの放射線は、誤判断を避けるためにも、鉛遮蔽環境で、スペクトルの有無を判定するほうが望ましいといえます。
また、非遮蔽環境での測定に先立って、環境放射線が、約0.0012μSv/hのレベルで安定しているかどうか、また、iMetryを含むシステムが十分安定的であるか、バックグラウンドと、システムの安定性の検証が事前に必要です。しかし、非遮蔽環境におけるMDAを論じるには、この事例ではまだ、実際のバックグラウンドを計測していませんので、バックグラウンドとiMetryシステムトータルでの日内変動をまず計測する必要があります。

セシウムの環境放射線レベルは言うまでもないことですが、非遮蔽環境での微量な放射線計測を困難にするものとしては、機器のドリフトだけでなく、室内のラドン線量の短時間変動が原因としてあります。測定の前に、その環境での機器とバックグラウンド線量の変動を総合的に連続的に観測する必要もあります。
そのような微妙な計測を行うに当たってはiPadを機内モードにする必要もあります。
線量安定度.png
一例として、空調されたコンクリート室内で、長時間iMetryを稼働させて、時間変動を観察して見ました。6時間の観測で、ある一時間で、上下差0.00135μSv/hの時間変動を観測しました。
考えられる変動要因としては
・ラドン由来の短時間の放射線の変動を捉えたのか、
・付近にいた人由来のK40の、人の移動による変動を捉えたのか
・温度ドリフトや、iMetryのドリフト
等が、考えられますが、何を捉えたのか、我々の貧弱な測定機器の中で、もっとも安定した機器はiMetryなので、他の機器では検証はおぼつきません。
いずれにしても、一例ですが、非遮蔽環境での放射線計測は、通常線量下で、一時間計測でバックグラウンドの2パーセントで線量の大小を比較するのは日内変動の点で、問題があるかもしれません。
結論を急ぐ前に、さらに、二台のiMetryをバックグラウンドで泣きあわせて、人が十分に離れた環境で測ってみようと思います。その実験から、結果次第では、温度変動によるものか...などまではわからなくてもなにがしか進捗するかもしれません。

一例ですが、本ケースに置いては、安全率を十分にとって、バックグラウンドの10パーセントの、0.006μSv/h程度であれば非遮蔽環境でも一時間計測で十分に放射線の大小は計測できそうです。
日内変動については、更に、人のいない環境で測ってみたいとおもいます。

バックグラウンドスペクトル.PNG
長時間計測で、環境あるいは、近隣の人体から出るK40のスペクトラムと、600keV近辺のBi214由来と思われる、ラドンのスペクトラムが観測されています。

以上のように非遮蔽環境での放射線計測は

バックグラウンド線量そのもののの揺らぎ
バックグラウンド線量の、ポアソン分布としてのSQRT(COUNT)/COUNTにより表される揺らぎ、
バックグラウンドのスペクトラム

これらにより、測定したい対象物の放射能にフォーカスがあたりません。
これらの事情により微量な放射線計測にあたっては、鉛による十分な遮蔽が必要になります。




  • 最終更新:2013-04-09 20:50:14

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード