iMetry ガイガーカウンターによる放射線計測時の注意

放射線計測時の注意

  • iMetryは微小な放射線を検出することができる測定器で、非常に高感度なため、誤動作を防ぐために操作には若干の注意事項が必要です。公式ページの計測時の注意にはたくさんの注意すべきことが書かれていますが、iMetryは、素晴らしいパフォーマンスと潜在能力を秘めていますが、魔法でできているわけではありませんので、物理法則の限界の中にいることに留意が必要です。一つ一つは簡単なことで当たり前のことですので、一応目を通しておくことをお勧めします。

微量な放射線計測


微量な放射線計測には鉛遮蔽が必要です

  • 微小な量の放射性物質を含んだ体積の大きい検体を計測する場合には、検体自身によるバックグラウンド放射線の遮蔽効果により、観測される放射線量が却って少なく計測されることがありますので注意してください。
  • 低線量物を測定するには、線量率はポアソン分布に従うため、本格環境放射線遮蔽箱で長時間掛けて測定する事が必要です 。精密な放射線測定に際しては、ボディエフェクトによる放射線の減衰効果を避けるために極力人体から離す。また、測定中は周囲を歩き回らないようにするなど注意しましょう。また、複数回の放射線計測に際しては、ボディエフェクトを一定に保つため、放射線計測操作者は、所定の位置で動かないようにするか、測定中は十分に離れましょう。
    • (参考)バックグラウンドが0.0716μSv/hのとき、計測場所を約1mの距離で人間7人が囲むと0.0674μSv/hになりました。要因としては人体による放射線の遮蔽効果が考えられます。その時、一人、1mで、約、0.0007μSv/hの遮蔽効果があるということになります。
  • 50mmの鉛板によりバックグラウンドの放射線を遮蔽すれば、一時間以上時間をかけて計測すると、その環境のバックグラウンドの線量にもよりますが、例えば、0.06μSv/h程度のバックグラウンド線量下では、相対的な精度ですが、50mmの鉛箱内では小数点以下3桁程度の相対的な比較のための有効数字を出すことも可能です。
    • この有効数字は、同じ場所、同じ環境で、同じ時(検出器の経時的なドリフトを考慮)に被測定検体の有無を比較し、繰り返し測定すれば、有効に使用できます。
  • 他のサーベイメータと違ってiMetryはスペクトルを検出できるため、微量な放射線量でも遮蔽下ではスペクトルは出せますので、単に3σに頼るのではなく、一時間以上時間をかけてスペクトルを確認する方が確実です。

波高分析において

  • バックグラウンド線量にもよりますが、バックグラウンド線量が0.05μSv/hの時に、鉛遮蔽環境で、0.0015μSv/hくらいのCs134/137による放射線のスペクトルは、24時間程度時間を掛けると、600keV近辺のピークを検出することができます。
  • iMetryのシンチレータ性能の限界から、Cs134の604keVとCs137の661keVのピークは分解できません。また、Cs134とCs137の混合物については、Cs134の795.9keVのピークの存在を元にCs134とCs137の混合のスクリーニングは可能です。
  • 一般に環境で簡易スペクトロメトリーで検出できる放射線は、K40によるもの、花崗岩、大理石、コンクリート、地中由来の、ラジウム、ラドン由来のもの、あるいは、原子炉事故による汚染環境ではインシデント早期にはI131、安定後には、Cs134/137の合成スペクトラムが一般に検出されます。Cs134/137の混合比率は、燃料が使用されていた時間と、インシデント後の経過時間に応じてゆっくり変化して行きます。
    • その他の放射性物質はなかなか用意には同定しにくいのが実情です。初心者は色々スペクトラムを見誤ります。大抵の場合、検出されるのはCs134/137の600keVより上の山と、800keVあたりの山、あるいは、K40の1450keV近辺の山です。
    • また、600keVのみ山が立つ場合は、ビスマス、Bi214 609keVのスペクトラムを見ている可能性もあり得ますので注意が必要です。気をつけましょう。
      これから放射能検査をスタートする方へ:5.スペクトルの見方
  • コンプトン散乱を、γ線の特性スペクトルと見誤らないように注意してください。Cs137の試験核種のスペクトルを例にすると、661keVのスペクトルのピークの他に、下の方にコンプトン散乱によるコンプトンエッジも見られます。これを他の各種による放射線スペクトラムと見誤らないように注意してください。
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微量な放射線計測に当たっては、機内モードにすることが望ましい

iMetryは筐体でアルミシールドがなされていますが、内部は超低エネルギーの計測を行っていますのでWiFiを発する機器、電波を発する機器と計測中に接触させることは望ましくありません。また、電波を発する機器からの一定の距離の離隔が必要です。しかし、iMetryは、センサーにMPPCを使用していますのでセンサー部分では原則電磁波には反応しません。あくまでシールドの不完全さと外部の電波機器の強度の問題です。通常の使用に置きましては機内モードにしなくても問題はありません。


確定診断

  • iMetryはあくまで簡易計測器で、機器の校正がずれていることもあり得ます。疑わしいスペクトラムが見られる場合は、感度は低くても、よりシャープなスペクトルの得られる専門的な機器を用いた詳細分析の上で判断する必要があります。

  • 放射線核種の確定診断は、バックスキャッタを見誤ること、校正ドリフトによる誤判断あり得ます。また、分解能の問題もあり、CsI(tl)シンチレータを用いた計測機器ではシンチレーターの体積に対して、より大きなセンサーを使用するか、Wave Guideを使用して入射効率を改善したものでないと、核種の確定診断は難しいです。また、核種の確定診断には、さらに、ゲルマニウム半導体か、CdZnTeを用いた機器による確定診断も必要です。
  • 一方、半導体を用いたスペクトロメトリーでは、英国クロメック社の、CdZnTeを用いたGR-1は、高価ですが、Geを用いた測定器ほど大変なものでなく、高いリゾリューションが出て、明確にシャープなスペクトラムが得られます。
    粉体並びに液体試料用現場型放射能測定器の開発

エネルギー補正

iMetryは、ガイガーカウンターとして、現時点でソフトウエアがエネルギー補正に対応しておりません。ワークアラウンドとして簡易的にセシウムで校正した後、70%として、バックグラウンド線量が正しく出るように、簡易エネルギー補正を行ってあわせています。
従ってセシウム137でいうと、現時点でiMetryは、放射線量を30パーセント過小評価することとなります。
エネルギー補正はハードウエアの問題ではなく、ソフトウエアの問題で、スペクトルを取りながらガイガーカウンターを計測していますので、カウントを拾うたびにエネルギーの補正値をいれこむだけです。エネルギー補正に対応するには、ハードウエアーを買い替える必要はありません。
iMetryは、簡易スクリーニングを目的としていますが、iMetryのソフトウエアの将来のバージョンで対応される予定です(公式サイト)。

エネルギー補正は、主にシンチレーターのγ線のエネルギー応答特性により、γ線のエネルギーによってカウントの検出効率が変化することにより線量測定値がγ線のエネルギーによって放射線量がシンチレーターの特性により誤差が生じることをテーブル等のアルゴリズムで大雑把に(コンプトン散乱も放射線測定器は使用しているので必ずしも正確に補正できない)補正することをいいます。

表面汚染検査

表面汚染検査に際してはiMetry検出器を汚染しないようにビニール袋等でセンサーを覆って作業する必要があります。

  • 最終更新:2013-06-21 05:12:41

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